鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語

「お前、鍋って……」

「うん、今朝ね、支度しながらテレビ見てたら、お鍋を沢山の人で囲んで食べてる姿が映っててね。
いいな~って思ったから」

いきなり敷居高いだろ、と言いたかったが、遮られた。
あ、俺も同じ番組見てたな。
確かに鍋が美味しそうだった。

「あらあらお鍋でいいの?
ステーキでもお寿司でも、何でもいいのよ?
好きなもの、言っていいのに」

母さんは、遠慮してると思ったらしい。
ま、冷蔵庫の残り物を入れて、よく作ってるからな。
呼んどいて、鍋じゃあ悪いと思っているんだろう。