鈍感ちゃんと意地悪くんのその後の物語

「あたしが決めていいことなの?
瀬田のおうちのご飯なのに……?」

「そうみたい。ほら、何でもいいから言ってみ?」

う~ん、と悩む素振りをする美空を、母さんはやっぱり嬉しそうに見つめていた。
ワクワクして。
いい年して、両手のグーを胸の前で上下に振っている。

「あの、じゃあ……。
突然呼ばれてメニューを決めてしまって恐縮ですが。
よければお鍋にしませんか?」

「え、お鍋?」

その言葉に、俺も母さんもきょとんとした。

お前、いきなり家族の輪の中で鍋つつくつもりかよ!
さすがマイペース……。
緊張した俺の気持ち、返せ!