「これも決して派手じゃないですけど、美都さんに似合うと思うんですよね」


ニコッと微笑んで、私の背後に回った真帆さんが、手際よくネックレスをつけてくれる。

俯いて胸元を確認すると、鎖骨の線と見紛うくらいの華奢なチェーンの先に、小粒のパールが五つ。

か……かわいい。アクセサリーって苦手だったけど、こういう控え目なのは好きかも。


「ありがとうございます……すいません、お洒落とか、苦手で」


情けない笑みを受けべつつ、ぺこりと頭を下げる。


「いいえ。それ、やっぱり似合ってます!」


うれしそうに微笑む真帆さんの隣で、すみれさんがしれっと言い放つ。


「でも、そういうイモっぽい子だからこそ社長に選ばれたんじゃない? あの人、女性を自分色に染め上げることに快感を覚えそうなタイプだし」


イ、イモ……。そこまでハッキリ言われるとショックだけど、すみれさんと真帆さん、それに涼子さんと比べたら、確かにイモだ。それも、まだ土も洗ってないヤツ。


「あー、それは、確かにあるかもですね」


涼子さんも、イモ発言を気に留めることなく、うなずいている。


「社長、いいとこのご令嬢とか、芸能人とかに言い寄られても興味なさそうですもんね」


げ、芸能人に言い寄られたりしてるんだ……。

それなのに、こんな地味で冴えない私をどうして……。いやいや、それを考えたらきりがない。社長を信じるって決めたじゃない。