遠慮がちに声を掛けると、振り向いた彼は冷静にこう言った。
「……大丈夫ですよ。うちにはきみにぴったり合うサイズの服も下着もあります。それに、そんなにすぐ襲おうとは思ってませんから、緊張する必要はありません。きみのことは、修業がてらゆっくり、溶かしてあげるつもりですから」
……私のサイズに合う服も下着もあるって、どういうこと? 社長は最初から泊まること前提で私をここに?
それと、最後の方、なんか恥ずかしいことを言われたような……。
「それじゃ、早速着替えを渡すのでこちらへ」
「は……はい!」
悩んでいる暇もなく、リビングを出て行く社長の背中についていく私。
どうしよう……泊まることになってしまった。この、高級タワーマンションの一室、Sっ気のある王子様とひとつ屋根の下で。
……これも、初恋に導かれた運命なの?
ようやくバスルームでひとりになると、私は洗面台の大きな鏡に映る自分に向かって、そう問いかけた。
当たり前だけど答えは返ってくるわけもなく、そこに映る私はますます困った表情をするだけだった。

