「……え。ええっ!? だって、さっきはスワロフスキーって!」


私にはダイヤよりそっちの方が庶民的で似合うのかも、なんて思いかけてたところだったのに、まさかの本物!?


「昨夜、嘘をつくことを予告したじゃないですか。……僕は初めてきみをこの部屋に連れてきたときに決めていたんですよ。いつかきみにダイヤを贈るって」

「初めて、ここに来た日……」


そういえば、このリビングで宝石について話したような気がする。

今もソファの傍に飾られている、はちみつ色のトパーズ。

その価値を知らない私に、『きっと、水晶を“ダイヤだ”と言っても、きみは気づかないんだろう』なんて馬鹿にするような発言をしたかと思ったら、彼はこう続けたんだ。


『そんな女性にこそ、本物のダイヤを贈りたくなります』――って。


その時の記憶を思い返しながら、私は静也さんに言う。


「あれ、本気だったんですね……。からかわれているだけかと思ってました」

「まあ、からかっていたのも事実ですが……それは美都の可愛い反応が見たいからですよ」

「もう……!」


拗ねたふりをして横を向いたけれど、本当は赤くなっているであろう顔を隠したいだけだった。

……私はいつになったら、この人の意地悪に余裕で応戦できるんだろう。

それとも、一生翻弄されっぱなし?