さっきは弱気な部分をさらけ出したけれど、それを乗り越えた静也さんの目は生き生きとしている。きっと言葉通り、また無理なことを言って専務たちを悩ませるんだろう。

けれど専務は、受けて立ちますという風に、力強い微笑みを返した。


「承知いたしました」


二人が固く握手を交わすと、自然とその場に拍手が沸き起こった。

もちろんご両親も惜しみない拍手を送っていて、私の心も温かくなった。

冷酷な印象が強くて、皆から誤解されがちな静也さんだけれど、きっと今日のことで少し印象が変わるんじゃないかな。

予定外のハプニングもあったけれど、今日の式典は、社員全員の記憶に焼き付くはずだよね。


それからパーティーでは本格的な立食も始まり、会場の盛り上がりも最高潮。

静也さんのご両親も、当初の予定より長い時間参加してくれて、昔から馴染みのある社員たちと談笑したりと、パーティーを楽しんでくれていた。

閉式が近づいてくると私は少しずつバタバタと雑用に追われたけれど、会場は最後までとても和やかな雰囲気で、東郷蜂蜜の百周年記念式典は大成功に終わった。