「いつまでお辞儀しているんですか、お嬢さん。静也が私のこと、そんなに怖い奴だと話しているのかな?」
お父様にそう声を掛けられて、今度はバッと勢いよく顔を上げて、ぶんぶん首を振る私。
「めっそうもございません! ただ、すみません、大事な息子さんの相手が、その……こんな、普通の女で……」
ごにょごにょと自信な下げに話す私の横で、静也さんが盛大にため息をつく。
ご両親は顔を見合わせてきょとんとすると、それからとっても優しい笑顔になった。
「いいのよ、そんなこと気にしなくて。それより、感謝しているのよ。あの静也が、私たちにこんな素敵な贈り物を用意してくれるなんて、初めてのことなの。きっとあなたのおかげなんでしょう?」
「いえ、私は、何も……」
恐縮して否定しつつ、思ったよりずっと好意的に話しかけてくれることはうれしかった。
お嬢様である華乃を許嫁と決めていたくらいだから、庶民に冷たかったらどうしようという不安がいつまでも胸に引っかかっていたから。
「……私もね、妻と出会う前は静也のように強がりで嘘つきで、そのうえプライドまで高くて、しょうもない男だったんだ。だけど、妻が私を変えてくれた」
誇らしげに語るお父様がなんだかほほえましい。
新婚旅行の映像からも伝わっていたけれど、長く結婚生活を送っていてもこんな素敵な夫婦でいられるのって、すごいな。
私は尊敬と羨望のまなざしで静也さんのご両親を見つめるけれど、隣の静也さんは不服そう。

