「美都」
頭の中で思い返していると、いつのまにか静也さんがそばに来ていて、私を呼んだ。
「静也さん……! ご両親のそばについていなくていいんですか?」
「今から行きますよ。君を連れて」
静也さんはそう言うと、私をエスコートするように手を軽く握る。
「え、わ、私……?」
「今日は父の調子もよさそうだし、ちょうどいい機会なので紹介します」
なんてこと……! 今日のところは秘書として黒子に徹して、ご挨拶はまた改めてだと思っていたのに、心の準備が!
とはいえ逆らうわけにもいかず、フレンチトーストを口にするご両親の姿も間近で見れることだし、と彼に手を引かれるままご両親のいる場所まで移動した。
昔の映像でも美人だったけれど、今も年相応に美しくて気品のある静也さんのお母様。それから車椅子のお父様は、病でやつれてはいても、静也さんと同じで瞳がきれいな人だった。
一気に緊張してしまう私が声を発せずにいると、静也さんがさらりと私を紹介した。
「父さん、母さん。こちらが、芹沢美都。僕の大切な人です」
「せ、芹沢です! 静也さんにはいつもお世話になっています!」
ぺこりと頭を下げたけれど、今きっと、私を品定めしているよね……と思うと、なかなか顔が上げられない。

