王子様はハチミツ色の嘘をつく



私がパソコンを睨んでいる間、上倉はスーツのジャケットを脱ぎワイシャツを腕まくりして、真剣な顔で私のデスクを綺麗にしてくれていた。

すごく助かるけど、なんか悪いことしちゃったな……

今夜、何かご馳走してあげよう。若い男の子は、やっぱり肉がいいのかな……

単純作業の合間に少しそんなことを考えつつ、着々と発注を進めていく。

そして定時の五時を二十分ほど過ぎたころ、上倉のおかげで滞りなく仕事は終わり、椅子に座ったままうーんと伸びをした。

キーボードはなんとか壊れていなかったけど、色々作り直しになってしまった書類もあって、上倉はなんとそれも手伝ってくれた。

ちょっと誤字はあったけれど、それでも一人でやるより全然早かったと思う。

デスクに両肘をついて、目が疲れたのか両手でごしごしと目元をこすっていた上倉に、私はコーヒーを入れてあげようと思いついて席を立つ。

あんなに私を目の敵にしていた女子社員たちも、アフターファイブまでお局に構っている暇なんてないのか、何事もなかったように続々と帰っていき、課内の空気もだいぶ和らいだ。

“蜂蜜まみれ”の犯人らしき若名さんだけは、私を睨んでから帰っていったけど……