「……今日は、その感謝の意を、父本人と、それから母に伝えるべく、ある企画を用意しています。公私混同と言われてしまうかもしれませんが、本日オープンしたフレンチトースト専門店のメニュー開発にも関係していたことですので、皆様にもお付き合いいただきたいと思います」
静也さんのその言葉に、ご両親とも目を丸くし顔を見合わせていた。
……よかった。とりあえず、サプライズの第一段階は成功みたい。
私は涙を引っ込めると小さくよし、と呟き、静也さんが挨拶を締めくくっている間に、企画の準備に入る。
会場の出入り口がにわかに騒がしくなり、創希さんと数人のホテル従業員が、それぞれ大きなサービスワゴンにたくさんのお皿を載せて入ってきた。
創希さんがまっすぐに向かっていったのは静也さんのご両親のところ。
私はその間に、リモコンを使ってさっき静也さんが立っていた壇上に大きな白いスクリーンをおろした。
別の担当者によって明るかった照明が絞られ、会場内が薄暗い闇に包まれる。
私が会場中央にあるプロジェクターに接続したパソコンを操作して、いつでも映像を再生できるようにすると、司会者がマイクに向かって話す。
「それでは準備が整ったようなので、始めさせていただきます。東郷静也社長から、ご両親へ贈るプレゼント――“思い出のフレンチトースト”です」
その言葉を合図に、私はマウスをカチッと操作する。
私はその後パソコンから離れて、さりげなく静也さんのご両親が見える位置へと移動した。

