マンションを出ると、僕の姿に気づいた創希がわざとらしく美都を抱き寄せた。
……こんな簡単な挑発に乗るなんて馬鹿馬鹿しい。
冷静に胸の内で呟く半面、理屈では説明できない苛立ちに喰い尽くされそうになる自分もいた。
美都は突然のことにびっくりしているのか、創希の腕の中で動かない。
……ああもう、何をやっているんだ。
次第に大きくなる嫉妬で悶々としていると、創希が勝手に僕の気持ちを代弁し始める。
それは腹が立つほどに図星で、僕はとうとう冷静さを失い、無理やり美都と創希を引き離した。
感情のままに『美都は僕のものだ』と口にして、彼女を引っ張りマンションへ連れて行く。
その途中に、一度だけ創希のほうを盗み見ると、したり顔でにやにやしていた。
……やられた。と、少し悔しくもあったが、こうなったら創希のことなどどうでもいい。
もう、嘘をつくのは終わりにしよう。
他のどの男とも、二度とデートなんかさせない。
さすがに鳥籠は可哀想だから、僕の腕の中に閉じ込めることにしよう。
捕まえて、唇を奪って……身体には、たくさんのキスマークを残すんだ。
僕だけの美都――飽きるくらいに、それを証明してあげる。

