急に恥ずかしくなった私が小さくなっている間に、創希さんが運転席から降りて、外から助手席のドアを開けてくれた。

デートの結果がどんなものでも、来たときと同じように私を丁寧に扱ってくれる紳士的な彼の振る舞いに、恐縮してしまう。


「本当に、ありがとうございました」


車を降りた私は、しっかりとお土産を手に持って、改めて創希さんに頭を下げた。

けれど創希さんは何も言わず、不思議に思って顔を上げると、彼の視線は私を飛び越えてマンションの入り口に注がれている。


「社長……」


振り向いてその姿を確認した瞬間、腕が引っ張られる感覚がして、私は身体のバランスを崩す。

そして、前方にある創希さんの広い胸に顔がぶつかった。


「ごめんなさ――」


反射的にパッと離れようとしたのに、背中に創希さんの腕が回っていて、ぎゅっと抱き締められてしまう。

創希さん、どうして……?

私は何が起こったのかわからずに、目を瞬かせていた。


「なんのつもりですか」


少し間があってから、冷めたような社長の声が聞こえた。

創希さんは私を腕の中に閉じ込めたまま、私の耳の側で話す。