上映が終わり、明るくなった館内で、続々と扉の方へ向かうお客さんを見ながら、私と創希さんは席に座ったままでいた。

彼が何を考えているのかはわからないけれど、私は勇気を出して、デートの終わりを提案するつもりだったのだ。


「あの、創希さん」

「ん? そろそろ俺たちも出よっか。腹も減ったし、何か食べに行こう」

「いえ、私……」


……言わなくちゃ。

これ以上一緒にいても、創希さんに迷惑をかけてしまうだけだ。


「今日は、もう帰ります」


彼の目を見ることができず、自分の膝に視線を落としたまま、おそるおそる告げた。

しばらく沈黙があって、その間に館内から他のお客さんはいなくなり、二人きりになってしまったことがさらに気まずさを際立たせる。

そんな中で、ようやく創希さんが声を発した。


「……俺を見限るの、ちょっと早すぎない?」


返す言葉が見つからない私は、黙り込んだまま。


「もう少し……せめて、夕方までは、俺に付き合ってよ。……お願い」


……ダメだ。私は、彼のこういうところに弱いんだ。

創希さんのペースに乗せられて、首を縦に振ることしかできなくなってしまう。