「どうしたの? 総司」
「いや〜。茅野ちゃんが落ち着きたそうだったから」
「…………そんなこと………………」
落ち着きたい。それは少し違う気がした。
怖さをどうにかしたい。
その為に強くありたい。
じゃあ。
強くある為に、私は何をすれば良いの?
初めて抱いた疑問。
生きるために強くあろうとした私。
でも、その目的が揺るぎ始めているのを今ならはっきりと理解できる。
「強さって……何なのかなぁ」
呟いた私。
「うーん。強さ、ねぇー」
素直に考えてくれる総司は優しいな。
私の為に考えてくれてるのがとても嬉しい。
って、なに考えてるんだろ⁉︎ 私⁉︎
「強さは弱さ」
「え?」
「いや、そんな事聞いた事あるなぁ〜って。強いのは弱さを知っている事。
本当に強いのはそんな人じゃないのかなぁ〜?
弱い人こそ自分は強い、強いって信じ込ませて見せびらかすから。
そういう奴ほど早く死ぬ。
弱いことを知らないと引き際も見極めれないし、驕っていると誰かを守ることもしなくなる」
能ある鷹は爪を隠すって言うしね〜、って総司が言う。
その言葉はストンと私の胸に落ちてきて。
「まぁ、僕も人の事は言えないけど。強いよ? って自分で言うし」
「ありがと、総司」
「ん」
「じゃあ戻ろっか」
歩き出した私の手を総司は握る。
「ふぇ⁉︎」
「もう、離さないから。絶対に」
真剣な総司の声。
その手は少しだけ角張っているけど、温かさがあって。
私はその手を黙って握り返した。