ぽかーん、という表現がぴったりだった。
あまりにあっさりとステルス帝国が引いていったから……今までの努力はなんだったのかと。
けど、アクスティア王国の勝利なら、とあたしはふらつきながら自分の足で立ち上がる。
幸い、アレクはポカンとしてたから彼の腕から抜け出すのは簡単だった。
「ヒース司祭長……約束通りにお願いします」
「うむ……では、そこに立っていなさい」
ヒース司祭長が錫杖を手にトン、と地面を叩くと。ゆっくりと光が円を描き、あたしの周りを取り囲む。
アレクが円陣の中へ入ろうと駆けつけてきたけど――
彼は、障壁に阻まれて飛ばされた。
「さくら! 行くな!!」
呼ばれて、あたしはゆっくりと振り返る。
そして、なるべく最高の笑顔をアレクに見せた。
彼があたしを思い出す時、そうだといいと願って。
「アレク……今までありがとう……たくさん、たくさん……いっぱい、いっぱい……ありがとう。あたし……短い間だったけど……アレクのそばにいられて幸せだった」
「さくら!」
「ごめんね……あたし……やっぱりここにはいられない。あたしの果たす役割と、あなたの役割は違う……だから、今はお別れ……」
それでも、名残惜しくて手を伸ばすと。アレクも壁の外から手のひらを合わせてくれる。
二度と、触れられない手。
あたたかくて、たくさんのしあわせをくれた。



