お猫様が救世主だった件につきまして





光は虹色の七色……まさか。


「輪廻の御技――ポイントやダメージではなく、時間の流れをコントロールする。ただし……自分の生命力を削る禁断の技。あれを使うの?」


最悪、発動した瞬間に命を落としかねない危険過ぎる技だ。


(いけない……いくら帝国のプレイヤーでも、死なせたくない!)


輪廻の御技の最大の欠点は、発動に時間がかかること。


なら、とあたしは知ってる技のうち、最短で発動する技を選び出した。


発動した技を、違う技で打ち消す。あたしが咄嗟に選んだのはそんな方法。


「お願い……間に合って!」


技を繰り出すため、懸命にハンマーを振り下ろす。一ヶ所でもミスをしたら命取りだ。


やがて、青い淡い光がこちらのドラゴンを包み込む。



誰かが、やめろ! と叫んでた。


だけど、あたしは――


誰かが命を落とすような戦いなんて、やめさせたかっただけで。何もかも耳に入らなかった。


七色の輝きが空間を満たす直前、こちらのドラゴンの青い光が虹色に溶けてゆく。


光は光を飲み込むと、打ち消しあい消滅していった。


「よかった……これで誰も死なない……うっ!」


ズキッ、と肩が激しく痛む。押さえた手も足も痛い。だけど……あたしは後悔はしなかった。

全身の激痛に耐えて意識が朦朧とする中――ヒース司祭長の判定が空に響く。



128対127。


帝国の、勝利だった――。