「来い」

「え、なんで?」

「いいから」

「……って言われても……きゃ!」


いきなり背中を押されて何かと振り向けば、パティさんがにこやかに笑んでる。


「サクラ様、どうぞアレク殿下のおっしゃる通りになさってくださいませ。わたくしもお付きしますから」

「って、え? どういう……ぎゃあ!」


いきなり脇に手を入れられたかと思うと、ヒョイと体を持ち上げられる。そして、ポフンと乗ったのはディートの背中。アレクの前に座らされてた……。


「しっかりディートの首に捕まれよ」

「って……え、ちょっと……どこに……どこに行くのよおおおっ!!」


鳥たちが走るスピードを徐々に上げながら翼を羽ばたきだす。揺れが、揺れが激しい。舌、舌を噛む!


バサバサと激しい羽音が数度聞こえた後――


ふわり、と浮遊感を全身で感じた。


それは、あの召喚の落下を思い出させて思わず叫んでた。


「ぎゃああ、落ちる! どっか飛ぶ!!」

「ぶふっ……相変わらずだな」

「笑い事じゃない!」

『わたくしもです……首を絞めるのはやめてください。息絶えれば落ちますよ』

「え!?」


そういえば、しがみついてたのはディートの首だと思い出して慌てて手を離す。


そして、その瞬間。


見えた景色に思わず歓声を上げた。