「まあまあ、ちょっと付き合えよ」
なんて人質ならぬ本質(?)を取られ、仕方なくアレクに付き合う。


だって……この5日、寝る間を惜しんで本漬けになりながらやっと掴んだ手がかり。その本を取り上げられたら、また1から調べ直しになる。


で、何を付き合え? と憤りながら彼の後についていけば。なぜかパティさんとミケと2頭の巨大な鳥が待ってました。


「え、なにこのデカイ鳥」

『鳥ではありません。わたくしはディートハルトと申します。ディートとお呼びください』


馬よりやや大きく黄金の羽毛を持つダチョウのような鳥が……喋った。


「え、鳥が喋った」

『ですからわたくしはディートハルトです』

「ディート……きりがないからそこまでにしてくれ」


アレクが黄金の羽毛の鳥の首筋を撫でると、ディートは目を細めて『わかりました』とクチバシをつぐんだ。


二匹の鳥のうちもう片方は銀色の羽毛を持つ、そちらは穏やかな顔で。


『わたしはリリと申します。サクラ様、どうぞお見知りおきを』


そう自己紹介をしてくれた鳥は、自分から脚を折って地面に伏せた。見れば、その背中には馬に着けるような鞍がくくりつけてある。


「もしかして……馬の代わり?」

「馬とはどういう乗り物かは知らないが、この世界では移動にこのレヤーを使うのが一般的だ」


そう言ったアレクは伏せたディートにヒョイと跨がる。え~とあたしは無関係ですよね? と見てると、なぜか彼はあたしへ手を伸ばした。