きっと、アレクは国のことを考えて一生懸命働いている。だけど、力が及ばずに国民を苦しめてるのを悔しく思い、無力感に苛まれてる。
(そっか……アレクはアレクなりに悩んで考えて……それで、あたしと言うかミケを呼び出したんだ)
あたし達を召喚したのはアレクだとヒース司祭長から聞いた。彼は何度も謝罪してくれたけど、どうか協力をしてくださいと皆と一緒に頭を下げられた。
帰還については召喚同様にアレクが方法を知ってるから、帰れる保証はする。ただし、それには次に月が満ちる時……つまり約1ヶ月後まではどうにもできないから、それまでは滞在するしかないと聞かされた。
その間行方不明扱いか? 日本じゃ大騒ぎになると心配すれば。どうやら元の同じ場所同じ日時にそのまま帰れると聞いて安心したけど。
アレクの苦悩を垣間見てしまっては……ただ何もせずに帰るのは申し訳ない気がしてきた。
「アレク……あの。アレクがあたしたちを喚んだのは……すごく困ったから、なんだよね?」
「……」
アレクはしばらく視線を落としたまま黙ってたけど、やがて「ああ」と認めた。
「本来ならば、おまえたちの様に幸せに暮らしていた人間を無理やり連れてくるなど、してはならないし。したくはなかった。相手の都合を無視し連れ去った挙げ句、こちらの都合ばかり押しつけるなど……身勝手もいいとこだと解ってる。
だが……不甲斐ないことに俺たちだけでは力不足で……我が国が滅びかけているのを、どうしても黙って見過ごすことなどできなかった」
アレクはギュッと唇を噛みしめて、あたしに向かい膝を着くと頭を下げた



