お猫様が救世主だった件につきまして




「はじめまして、サクラ様。私はパティと申します。以後、何なりとお申し付けください。誠心誠意お仕えさせていただきます」


メイド服のスカートを摘まみ、優雅に一礼してきたパティさん。何だかあなたの方がお姫様みたいですよ~と言いたくなるほど様になってた。


「あ、はじめまして。あたしは花宮 さくらです。日本で女子高生してました」

「ジョシコウセイとは何だ?」


なぜかアレクが興味を持ったのか話しに割り込んできたから、日本での教育について話せば、2人とも驚いてた。


「女性……ことに庶民でもすべての人が最低9年も国のお金で教育を受けられるんですか」

「どんな素晴らしい制度だ、それは。我が国では初等教育すら満足に受けられないというのに……」


先の言葉はパティさん、後の発言はアレク。パティさんは純粋に驚いたみたいだけど、アレクは何だか悔しそうに見えた。


「我が国では……まだまだ国民が教育を受けるチャンスが少ない。教会の日曜学校で読み書きを教えてはいるが……それすら通えない人間が多いんだ」

「そうなの?」

「不甲斐ないことだがな……豊かな土地をステルス帝国に奪われたせいで、我が国が経済的に傾いているのが現実。とても教育に割ける余裕がない。
誰もが働かねばその日のパンも買えないから、子どもも働かねばいけないのだ」


アレクはそばにあったテーブルに拳を当てると、音が立ちそうなほど固く握りしめる。震える横顔は、本当に苦しげで……何だか胸が痛んだ。