足首まで埋まる、ふっかふかの赤い絨毯。一面大理石の壁と天井。猫足の白い家具類。キラキラ輝くシャンデリア。美術品もたぶん一流。寝室のベッドは天蓋つきで、カーテンまでついてる。

お城の三階にあるバルコニーに面する窓はガラス面が広いから、採光がよくて室内はすごく明るく暖かい。


これが、異世界からの客人用にとお城で用意された部屋。


なんだけど……。


「…………」

「…………」


ドアを開いたあたしは、ミケと無言で見つめあってた。


と言うか……。


「な·ん·で、あたしがもと物置部屋で、あんたがこんな豪華な客間なのさ!」


腰に手を当てながらあたしが文句を言っても、天蓋つきベッドで寝そべったミケは知らん顔。ついさっき食べた魚料理に満足したのか、顔を洗い始めた。


その食事だって、ミケは王様やアレク(彼は王子様だった!)と一緒に豪華な料理を頂いたのに。あたしは下働きの中に混じってパンとスープだけだったんですが!


そりゃ、ま。ただでご飯をもらえるんだから。文句を言うつもりはないんだけどね。


この格差はいったいなんなの!? と頭をかきむしりながら叫びたかった。