「え?」
閉じたまぶたをゆっくりと開く。
ピコン、ピコン、ピコン。
何回か連続で小気味いい音が響いたのは、モンスターが叩かれヒットした時の効果音だ。
いったい何が起きたのかとまっすぐに見て、驚くなんてものじゃなかった。
だって……今の今まで隠れて姿も見せなかったミケが、筐体に昇って穴から出るモンスターに猫パンチを浴びせていたんだから。
ピコン、ピコン、ピコン。
見事な3連打……いや、7連打! これはすごい。あたしよりよほど素早いし、モンスターの変幻自在のスピードにきっちり対応してる。
「ウニャ」
ピコンピコンピコピコピコピコピピピピピピピピピピピピピ。
「すご……速すぎて見えない」
遂にミケは光速を超えた! なんて言いたくなるほど、目にも止まらない速さでミケは猫パンチを繰り出す。
呆然と見守っている間にも、ポイント差が縮まっていく。
138対109。
145対128。
152対145。
猛烈な勢いで追いついていくモニターを見て、マジですか!?と目を疑いたくなる。
こちら側の赤いドラゴンも勢いを盛り返し、青いドラゴンを押し返していく。
もちろん、アレクも手を抜かず頑張ってたと思う。だけど、余裕だった表情に焦りが滲んだのを確かに見た。
そして、遂に。
169対178。
逆転したところで時間を示すバーが消えて……
「勝者は勇者様!」
ヒース司祭長が高らかに結果を告げると、周囲からわっと歓声が上がった。