あたしは頑張った。
16年間努力して得たもぐらたたきの実力を惜しみなく出し、かつてないほど頑張った……んだけど。
「あり得ない……なんであたしのドラゴンがあんなに追い詰められてるのさ!?」
あたしは息を切らしハンマーを降り下ろしながら、隙を見てちらっと前を見る。
125対86……。
圧倒的な差が着いているためか、アレクの青いドラゴンはあたしの赤いドラゴンをステージから押し出しつつあった。
やばい、かなりやばい。
焦ってハンマーを両手持ちにしたはいいけれど、微妙な差でモンスターの頭が引っ込むから結局スカで無駄になる。その間にもアレクは次々とヒットさせて点数を稼ぐから、ポイントは開く一方。
(こんなはずじゃない……あたしはもっとできるはず。こんなの小学生の時よりひどいじゃん!)
今度は地道に点数を稼ごうとしても、ステージから落ちそうになってるドラゴンが気になって集中できない。こんなんじゃダメだ……期待してくれてる人たちに申し訳ない。と思うと余計に気が急いて、凡ミスを繰り返す。
あと、少し。その少しでドラゴンが落ちてしまう。
頑張れ! 頑張って手を動かせと自分を叱りつけたのに。明らかに動きが鈍い。
もうダメだ……そう諦めようとした瞬間、ドスッと鈍い音がしてすぐ。ピコンと間抜けな音が響いた。



