お猫様が救世主だった件につきまして





「それじゃあ、実際に戦ってみるか。おまえの実力を見せてもらう」


アレクは青い筐体の方へ向かうから、あたしは反対側の赤い筐体へ。

基本的な造りはもぐらたたきと一緒だけど、穴に色がついてる。赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫色……何だろう、これ?


反対側でハンマーを手にしたアレクは基本的なルールを説明してくれた。


「ルールは簡単だ。穴から出るモンスターをハンマーで叩くだけ。モンスターを1度叩けば1Pointのパワーを自分のドラゴンに与えられる。先にどちらかのドラゴンがステージより落ちるか、制限時間を示すバーが消えればバトルは終了する」

「えっと……つまり、叩いた回数がそのままドラゴンのパワーになって、力比べみたいになるわけね」


お相撲さんの取り組みみたいなものかな、とイメージしてみる。ドラゴンだけど。


「そうだ。モンスターの出るパターンやスピードはあくまでランダムだ」

「わかった。とにかく、たくさん叩いてポイントを稼げば勝ちね」


シスターっぽい修道着の女性からハンマーを受け取り、手に馴染んだ重みに思わず笑顔になる。


「ふふん、このもぐらたたきマスターのさくら様を相手にして、後悔しないことね!」


もぐらたたきハンマーで、ピッとアレクを指せば彼もニヤリと笑う。


「ほう、それは楽しみだ。せいぜい負けぬように頑張ろうか」

「それでは、はじめ!」


ヒース司祭長の合図で、バトルはスタートした。