公生くんの家からの帰り道、私は『レインリリー』に入った。 カランコロンという音が鳴って、いつものようにおじさんが「いらっしゃい」と声をかけてくれる。 土曜日なのに、いつもと変わらない風景がそこにある。 「コーヒーかい?」 「あ、はい……」 おじさんがコーヒーを淹れ始めた時、扉がカランコロンと音を立てた。 「おやじ、買ってきたで……って、あれ? ユイボー?」 加持くんだった。