〜 蛍 視点 〜





「………あ?…ふざけんなよ
俺は蛍だけだ。………ああ、分かった」




「…………恭也、どうしたの…?」






恭也は、私の隣で不機嫌そうな声を出して電話をしていた

電話の相手は、恭也の傘下の人らしく
仕事の電話だろうと私は離れようとしたが……


恭也は、私の腰に腕を回し
自分の膝に乗せて、私を離そうとしなかった



たぶん…
どこにも行くな…ってことだろう……



恭也が私以外と話すと不機嫌なのは、いつものことだから気にしなかったけど…

恭也の発した言葉が気になり私は、恭也が電話を切った後、恭也に声をかけた





俺は蛍だけだ…って……

どういうことだろう……






「…………よく分からねぇが…
俺のシマで問題を起こしている女がいて…

その女が、蛍に似てる……とかなんとか…」





「私に似てる……?」






私に似てる……ってことは…






「洸か遥ってこと…?」






私に似てる人なんて……

洸か遥しかいないはず……






「いや、蛍の顔に似たとかそういうことじゃなく…

蛍と同じような雰囲気の女が俺のシマで問題を起こしているらしい…」





「私と同じ雰囲気…?」





「普段は、蛍と同じ雰囲気の女だが……
洸や遥みたいな人格を持っているらしい……

だから、俺に注意してくださいって連絡がきた」





「……………」






私と同じ雰囲気で……

洸や遥みたいな人格を持った女……


それが本当なら…
まるで、私が二人いるみたい……





「安心しろ、蛍…
お前と同じような女がいても、俺は蛍しか見えねぇから」




「…………あ…ありがとう…////」






恭也は、私の肩に顔を乗せると
耳元で甘く囁いてきた


私は、そんな恭也にドキッとしながらも
何故か不安になっていた






私と同じ…女………

何故か、嫌な予感がする……



恭也……

本当にその言葉、信じてもいいんだよね……?