美しき夜、北斗七星が輝く








午前中もお昼の時も何もなかった

メンバーはいつもお昼を食べている人と一緒なのに

不思議といつもより会話が弾む気がした

私服姿だって言うことと場所が影響しているのかもしれないな

僕も声を上げて笑った




…だけどやっぱり

來真兄ちゃんの言うことは正しくて




小谷さんと合流した迷路内で

僕は発作を起こした

すぐに薬を飲んだから落ち着いたけど…



それからも体調はお世辞でも良いと言えなくて

黒木さんと樹と別れて

唯一発作を起こしたことを知っている小谷さんが気を遣ってくれなくちゃ

僕は道端で倒れていたかもしれない





「…小谷さん…
そんな挙動不審な態度取っていたら
ジェットコースターの列に並ぶ黒木さんと樹に
不審がられるよ…」


「だって…不安なんだもん
いつ戻ってくるか…」




あのふたりには言いたくなかった

勿論小谷さんにも言いたくなかったけど

事故で知られてしまったから



あのふたりに知られたら

絶対に帰ろうなんて言いだす

帰ったら兄たちに怒られる

夜には帰ると聞いている空真兄ちゃんや父さんにも

きっと僕が無断で外出したことは連絡がいっているはず





「…ゲホゲホッ…ゴホッ…」




帰りたくなかった

自分のためだとわかっていても







――帰りたくなかった