やがて人影――若頭?――はあたしたちの前に背を向けて立った
背が高くてスラリとしている
ピアスがついているけど
不思議とチャラそうな感じはしない
さっきの中央の人に比べて装飾品が少ないからなのかな?
「これ以上手を出すと言うのなら
オーナーに通報させていただきますよ」
「……チッ
おい…逃げるぞ」
ゾロゾロと黒服ならぬ黒壁軍団が離れて行く
あたしは突然の出来事にポカンとしていた
黒壁軍団が見えなくなった時
隣で震える彼が顔を上げた
「オーナーに通報するって言うのはやりすぎだよ」
…知り合い?
ヤクザの若頭と?
白羽くんの交友関係ってどうなっているの!?
頭の中があたしは少しパニックだった
「…ああでも言わないとね
さすがに喧嘩に発展したら困るから」
溜息交じりに黒壁軍団が行った方向を見る若頭さん
そしてこちらを振り向きニッコリと笑った
「君たちを喧嘩に巻きこむわけにはいかないからね
オーナーには喧嘩でもしない限り通報しないよ
安心してね……斗真」


