目は固く閉じられていて
顔には所々汗が浮かんで
肩を激しく上下させて呼吸をしている
「白羽く……!」
「ほーら
金さえ渡せば通させてやるから」
…お金渡した方が良い?
…渡しちゃ駄目だよ
だけど…だけど……!
「……いくら?」
「黒木さん!」
「美夜!」
「いくら…欲しいのよ…」
目の前で苦しんでいる彼に何も出来ないのなら
早く連れて行ってあげた方が良い
お金を渡した方が…良い……
「話が分かる子だねー」
「いくら欲しいのよ」
「んーと…
5千円くらい?」
あたしは手に持った鞄から財布を取り出す
ヤクザたちが「ヒュー」と口笛を鳴らす


