遊園地の敷地内を出て
誰もいない住宅街を歩く
「うわー…
変なのでないよね?
ヤクザとか野犬とか」
「萌何も言うな
縁起でもない」
「柿沢くんの言う通り
白羽くん平気?」
「へ……」
「平気じゃないんでしょ
嘘つかないでね」
「…わかっているのなら…
聞かないでよ…ゲホゲホッ…」
「ごめーん」
…テキトーに謝ってしまったけど
白羽くん…本当に平気じゃない
さっきよりも絶対に熱上がっているし
ふらふら加減も度を増している
支えるあたしが気を抜けば
簡単に倒れて
狭い住宅街の道のブロック塀に体当たりだ
「神様仏様樹様~
何も出させないでください~」
「萌
俺は神様でも仏様でもない」
「樹は私にとって王子様~」
「萌~
こんな時に惚気るな~!」
でも萌の言う通りだ
何か出そうで本当に怖い
住宅街なのに灯がポツポツしかない
犯罪が起きても朝まで気がつかれなさそう


