パコンッと音がして箱が開く
箱から覗くのは細長い錠剤が2つ
そこでようやく私と手を離した白羽は
それを右手に乗せて飲んだ
「……」
私は何も言わないで
何もしないでその光景を見ていた
まるで家にいてテレビを見ているような感じだ
「……ごめんね
行こうか?」
「行こうかって…
大丈夫なの?」
立ち上がった白羽は力なく笑った
あのふにゃっとしている笑顔も
本当に気が抜けている
「平気だよ?」
「だって今のって…発作だよね?」
「そうだけど…
別に今は平気だから…行こうよ」
「美夜と樹に言った方が良いんじゃない?」
「言わなくて平気だよ」
「でもっ……」
「小谷さん」


