白羽は戸惑うように視線を泳がせていた
そしてゆっくりと…だけど段々強く
私の手を握ってくる
「白羽……?」
私と繋いでいない左手を
白羽はゆっくりと
まるでスローモーション動画を見ているかのような動きで
自分の胸元へ持って行き
そのままズルズルとしゃがみ込んだ
「白羽!?
ちょっ…あんた大丈夫!?」
「…平気っ………」
私の手を強く痛いほど握りしめながら
白羽は顔を歪めた
入り口で毒舌スタッフさんが言っていた
緊急用の赤いボタンを押したくても
手を繋いでいるせいで動けない
「……ケホケホッ……」
小さな咳と一定じゃない呼吸をしながら
白羽はパンツのポケットへ左手を伸ばす
そして中から細長い箱みたいなのを取り出した


