その日は満月で月明かりが眩しい夜だった
俺は四方のカーテンを夜だから閉め
カーテンを通して注ぐ月明かりの中
ぼんやりと眠れずに天井を眺めていた
…そういや手術は明後日だっけ?
もうすぐで斗真――当時は白羽と呼んでいた――と別れるんだと考えていた
『…何か飲むか』
独り言(ご)ち上体を起こす
そして枕元に置かれた水に手を伸ばした時
俺はハッとしてカーテンを開いた
『…白羽?』
骨折した右足を上げながら俺は
カーテンを閉めない月明かりの下
身体をくの字に曲げて苦しそうに咳を繰り返す斗真に声をかけた
左足で飛びながらベッドへ近づきその肩に触れた
『…熱っ!』
『…あっ…柿沢く…ゲホゲホッ…ん…』
『お前熱出てんじゃん!』
入院しているものの
斗真の体調はかなり安定していて
初めて発作を起こしている所を見た


