「大人しくなんて…していられないよ」




ガシッと白羽は

美夜の腕を掴んだ

美夜が何も言わないで肩を震わせる




「学校で色々酷いこと言ってごめん
あと…ケホッ…色々迷惑かけてごめん…コホッ

黒木さんはケホケホッ…悪くないよ
きちんと向き合おうとしなかった僕が悪かったんだよ

本当にごめんなさい
…あと

助けてくれて……ありがとう」


「ぅっ…ふぇ……」


「ありがとう助けてくれて
貴女は僕にとって…本当に勿体ない素敵な彼女だよ」



泣きだした美夜に笑いかけ

その涙を拭ってあげる白羽




「…学校では莉々花の涙拭わなかったのに
あたしのは拭ってくれるんだね…」


「ケホケホッ…当たり前でしょ…コホコホッ…
黒木さん…ケホケホッ僕の…コホコホッ…彼女だから…」




がくんと膝から崩れ落ちる白羽

美夜がその体を支えてあげていた




「ごめっ…ケホケホケホッ…コホコホッ…ハァハァ…ケホケホッ」


「病室に戻ろう?
やっぱりこの格好で来るなんて無茶しすぎ」


「ケホケホケホッ…コホコホッありがと……ゴホゴホッ…」





今は10月始め

パジャマ姿で外に出るのは白羽にとっては自殺行為だ




「黒木さん
俺は萌を送っていくから
黒木さんは斗真のことよろしくな」


「ばいばい美夜
白羽はお大事にね?」


「ばいばい萌
柿沢くん萌をよろしくね」




自分の肩に白羽の腕を回した美夜は

そのまま嬉しそうに笑った






「やっぱりあのふたり良いよねぇ」


「だな」


「…樹
もう少し…濃いキスしても良いよ?」


「は?」


「美夜が白羽に口移しで薬飲ませてるの見て
良いなぁって思ったの

だから…良いよ」


「……わかった
優しくするからな?」





チュッと私のおでこにキスをする樹

少し冷たい風が吹いているけど

樹にキスされたところはほんのりあったかい