ゆっくりと

まるでスローモーション動画を見ているかのように

白羽くんは起き上がると

壁に寄りかかって軽く咳をした




「……何してんだよ」


「しらは…」


「さっさと教室戻れよ…
今なら間に合うからさ」




胸元を掴んだまま

あたしたちを睨みつける白羽くん

滅多に見ないその表情に…

あたしは信じられなかった





「……んで…
泣きそうな顔…してんだよ」


「そりゃそうでしょ…
大好きな人に拒否されたら…
泣きたくもなるでしょ…」




あたしは宙ぶらりんだった手を差し伸べた




「嫌だ
放って行くなんて出来ない

行くのなら
白羽くんと病院か保健室に行く」


「……」



手を差し伸べたままあたしはしゃがみ込み

白羽くんと目線を合わせる