美しき夜、北斗七星が輝く










「……!?」




キスされたのだと

気がつくのに時間はいらなかった





「ゴホゴホゴホッ…ゲホゲホゲホッ…ごめっ…ハァハァ…ゲホゲホッ」


「平気…
むしろ…嬉しかった……」




漫画で聞くリップ音はなく

ただ静かに重なった唇と唇



さっき

“キスして平気”って聞こうとしたんだ





「ゴホゴホゴホッ…ゲホゲホッ…っう……」




苦しそうに声を出すあたしの彼氏




「やっぱり心臓痛むんでしょ?」


「ゲホゲホッ…違っ…ゴホゴホゴホッ」


「じゃあどうして…
心臓の部分押さえて苦しがっているの」




ギュッと胸元にあった手を握ると

熱が出ていてカタカタと震えている




「…はっ……ぅあ……」




否定するけど

くの字に曲げて痛みに耐えているようにしか見えない