「…………」
「…………」
「……樹?」
「……黒木さん?」
静かなゴンドラの中に
静かに響く白羽くんと萌の声
「…どうするのよ白羽…」
「ぼ…僕に聞かれても…」
「白羽は知らなかったの?
美夜が高所恐怖症ってこと…」
「知らないよ…
そう言う小谷さんこそ知らなかったの?
樹が高所恐怖症だって…」
「今思い出したわ…」
「駄目じゃん……」
ジェットコースターの次に乗ったのは
2番目という順位に不釣り合いな観覧車
そこであたしと同じく高所恐怖症の柿沢くんは
黙り込んでしまった
話しているのは観覧車に乗りたいと言ったふたりだけ
「「早く終われぇ~」」
「…僕たちにとっては平気な観覧車が
黒木さんと樹にとっては苦手なんだね…」
「私たちとは正反対ね……」
さっきはあたしと柿沢くんが苦笑したのに
今度は白羽くんと萌が苦笑することになってしまった


