千紗は、震えそうになる声をなるべく落ち着かせて聞いてみる。 「矢嶋さんって、お仕事なになさってるんですか? ほら、夜遅い仕事って言ってたけど……」 こんな聞き方して、変に思われないかな? 緊張して、指先の感覚までなくなる感じがした。 矢嶋は、千紗にコーヒーを差し出す。 「普通の営業みたいなもんかな?」 営業……。 まあ、そうだよね。 もし、カナタ本人だったとしても、本当のことなんて答えてはくれないよね。 それに、やっぱり実際、こんなところに芸能人がいるわけないし。