「矢嶋さんっ」 千紗は思わず、彼の姿を見て大きな声で反応してしまった。 夜中なのを思い出し、慌てて口元を抑える。 「あれ、もしかして、起こしちゃいましたか?」 あたしがベランダなんかで独り言を呟いていたから。 窓を開けていたら筒抜けだったかもしれない。 そう思い、おそるおそる聞いてみる。 「いや、ちょうど今帰ってきたところなんだ」 こんな時間に帰宅とか。 お仕事かな、飲み会とかかな。 それとも、誰かとデート……? 色々想像してしまう。