今宵、君の翼で



「まだ帰ってなかったんだ?」


「うん……翼に話があって」


手がかすかに震えている。


「俺に話ってなに?」



後部座席に座っていた女の子を見ると、勝ち誇ったような顔をして笑っていた。


イライラする……


「ここじゃ話したくない。ちょっと来て」


「えー! ちょっと! これから翼と出るとこなんだけど!」


私が睨むと、女の子は黙りこくった。


それを見て翼が笑う。



「悪いね、すぐ終わっから待っててよ」



なにそれ……待っててって……


どこに行くつもりなの!?


イライラが止まらない。


私と翼はみんながいる場所から少し離れた。



「もうここら辺でよくない?」


翼がため息をついている。


ため息つきたいのはこっちだよ……



「翼、どうしちゃったの?」


「は?」


「なんであの子といるの……? なんで……キスしてたの?」