今宵、君の翼で


ようやく足が動いたかと思うと、今度はガクガク震えだした。


私は震えながらもその場から逃げた。


うまく走れなくて途中転んでしまった。



涙で顔がぐちゃぐちゃ……


翼、なんで!?


なんでよっ……


私だけじゃ……なかったの!?



「ひでえ顔」



その声に顔を上げると、目の前に四条さんが立っていた。


「し、四条さ……」


「ほら」


うつ伏せに倒れている私に手を差し伸べてくれた。


そしてそのまま私を引っ張って立たせてくれた。


「だから言ったろー」


「違う……あんなの翼じゃないもん。きっと何かあって……」


何かってなに?


頭が混乱して何も考えられない。


「現実から目を背けたいのはわかるけどさ~」


うるさいうるさいうるさい。

翼の事何もわからないくせに。



「わ。その挑発的な目もそそられるね?」


「なんで……私にかまうんですか? 放っておいてください!」


「なんでかねー? そこまでして翼を信じるあんたに興味がわいてきたのかな。他の女だったら傷ついてソッコー離れてくんだろうけどね。少なくとも俺が今まで付き合ってきた女はそうだった」