今宵、君の翼で



「知ってんよ。俺、シホの元彼だから」


ええ! し、知らなかった!



「シホ先輩ならまだ帰ってないかも……」



四条さんはゆっくりと立ち上がり、私の目の前にやってきた。


「シホじゃなくて。俺はあんたに用があんだけど」


顔が近くなり、思わず後ずさりしてしまう。


「よ、用!?」


「やっぱ綺麗な顔してんなー」



四条さんは私にジリジリと近づいてくる。


馴れ馴れしい人!


「あんたさ、俺と付き合いなよ」


「はぁ?」


「『はぁ?』じゃなくて。俺の女になれって言ってんの」


「意味がわかりませんが。私は翼と付き合って……」


「知ってる」



はぁああああ?


なにこの男!?


「知ってるなら……」


「翼は辞めといたほうがいい」


ヘラヘラ笑ってたのに、急に怖い顔つきになった。


「な、なんでですか!? なんであなたに……」


「翼と付き合ってたらあんたが傷つくの確定だから」


「そんなことありません!」


みんななんなの!?


圭祐も……この人も!


どうして翼のこと悪く言うわけ!?


翼が頭だから? それともあんな傷を負ってるから?