今宵、君の翼で



「翼……ありがとう。隣にいてくれるだけですごく心強かったよ」


笑ってそういうと、翼はコクリと頷いた。


さっきからどうしたんだろう。


いつもなら笑い返してくれるはず。


何か嫌な事でも思い出させちゃったのかな……


変な不安が心をよぎる。


翼も隣に並んで拝んでくれていた。


でもこの時、翼が何を思っていたのか、私は少しも気づかなかったよ。





翼はシホ先輩のアパートまで送ってくれた。


バイクから降りて、翼の顔を覗きこんだ。



「ねぇ翼、どっか具合悪いの?」


「え?」


「なんかさっきからおかしいから……」


「あー。別に」


目を逸らしているのも気になる。


「いっこ……聞きたいことあんだけど」


「なになに!?」


「お前の兄貴って、なんで死んだの?」


「あ、言ってなかったっけ。ひき逃げされたの。でも犯人はまだ見つかってないんだ」


「……」


「翼?」



「そっか……」


「うん。さっきもねお兄ちゃんに話してきたんだ。犯人だけは絶対見つけるって。お兄ちゃんをひき殺した上に逃げてるなんて……本当に最低だよ」