今宵、君の翼で


お兄ちゃんのお墓の前には綺麗な花が飾られてあった。


まだ新しい……きっとお母さんたちかも。


頻繁に来てるみたいだしね。


私の携帯には全然連絡よこさないくせに。


あ……お兄ちゃんの前で嫉妬するなんて。

ごめんね、お兄ちゃん。



「翼、お兄ちゃんのお墓ここだって」


気を取り直して横にいた翼に教えた。


「立派な墓じゃん。高そう」


「うん……お金かけてるもん」


お兄ちゃんのためなら、決してお金を惜しまない。昔からそうだったもんね……



「なんか字がごちゃついてて名前読めねぇ。ごうし?」


「豪壮(たけあき)って読むんだよ」


「た、けあき?」


「そう。とてつもなく優秀って意味でつけたらしいんだけどね、本当に名前通り優秀なお兄ちゃんだったんだ」


私の(美羽)って名前の方が恥ずかしい。


美しい羽なんて、持ってるわけないのに……


「よし、線香つけよ」


翼が持ってくれていた線香をもらおうと顔をあげると……


翼は瞬きも忘れるほどお墓をじっと見つめていた。


「翼? どーかした?」


「佐久間……たけあき」


「うん? そうだけど……」


どうしたんだろう急に……