今宵、君の翼で


翼はまっすぐに私を見つめてくれている。

何を言っても言い訳にしか聞こえないだろうけど、私の思いはちゃんと伝えたい。


「でもこんなこと……信じないよね……」


私の両頬に手を添え、おでこをくっつけてきた翼。


その行為にドキッとする。



「俺はこれから美羽の言葉しか信じねぇ」


「つ、翼……」


その言葉が嬉しすぎて胸が締め付けられた。


「だからさ、これから勝手に俺から離れるの禁止。そんで圭祐と話すのも禁止。オッケー?」


「えっ」


「あいつ告ってきたんだろ?」


「知ってたの?」


「圭祐の顔みりゃわかる。あいつお前のこと可愛いって騒いでたし」


今なら……聞いてもいいかな。


「あのね。圭祐から聞いたんだけど……翼、ヤクザの人たちからひどいことされてない?」


翼の顔色が変わったのを、私は見逃さなかった。


「私、翼が心配で……」


自分は芽衣子さんみたいに強くないし、何も力になれない。


それがすごくもどかしくて、辛くなる。