今宵、君の翼で


「じゃ俺はもう行きますね」


そう言って、 バイクの渦の中へと軽快に走っていった圭祐。

嵐のような子。でもシホ先輩たちが来たから気を使ってくれたのかな。


「あれ? 今行ったのって、後藤圭祐?」


「はいっそうです」


シホ先輩の顔つきが変わる。


「アイツ、良い子そうに見えて裏で色々やってるらしいから気をつけなよ」


「え?」


「まぁ、美羽には翼がついてるから大丈夫だと思うけど」


その言葉に、隣で聞いていた陽菜が目を見開いた。


「翼がついてるって……どーいうこと?」


あ、やばい。

陽菜にはまだ言ってなかったんだった……


「え? 美羽、翼と付き合ってること陽菜に言ってなかったの?」


「は、はい……」


次の瞬間、陽菜に胸ぐらをつかまれた。


「はぁっ!? 私が翼のことを好きだってこと知ってたくせに、影で翼と付き合ってたの!?」


陽菜はめちゃくちゃ怒っていた。

こんな陽菜は見たことがない。