今宵、君の翼で


「あと……つーさんの背中見ました?」


「せ、背中?」


「墨入ってるんですけど、それ以外んとこにも切り刻まれたよーな跡がすげぇあったんですよ!」


「切り刻まれたような、跡?」


「はい、たまたまつーさんが半裸のときに会って、背中見たらその傷あって。でも怖くて誰も聞けないんすよね~。いやー、あれはエグい」


思い出しているのか、顔を強張らせた。

翼のこと知りたいのに、知れば知るほど怖くなってしまいそう。



「あっ色々しゃべっちゃったけど、俺が言ったって、つーさんに言わないでくださいね!?」


「うん……大丈夫」


「美羽さんだとなんか話しやすかったからつい……また今度俺と話してくれますか?」


「うん、もちろん……」


そう言ったものの、もうそういう話は聞きたくないような気もする。

でも、今までの彼女とは比べてほしくない。

私は翼から逃げたくない。


「美羽~! 陽菜が来たよぉ」


その時、シホ先輩と陽菜がこちらに向かって歩いてきた。