今宵、君の翼で




大輝が翼に声をかけ、翼もすぐに立ち上がり、私の方を見ている。



「う…嘘でしょ…」


「え、なに?あいつもしかして彼氏とか!?」


「うん…うん…」


もう涙で前が見えなくて。


せっかく翼に会えたのに…


ぼやけてしまう。


私の方から行かなくても翼から来てくれた。


「美羽!」


愛しい人の声は以前と変わることなく、私の鼓膜に心地よく響いてくる。


「翼ぁ!」


翼は私の事を思いっきり強く抱きしめてくれた。


ぎゅーっと苦しいほどに。


でもいい。もっと強く抱きしめてほしい。


このまま死んでもかまわないから…



「あい…たかった…」


翼が私の耳元で小さく呟いた。


言いたいことや聞きたいことが沢山あるのに、何も言えなくて。


涙がこみあげてくるから、喉が痛くてたまらない。


翼も少し震えてる気がする。


もしかして泣いているの…?


私から離れようとはしない翼。