今宵、君の翼で



「お、お母さん…」


「豪壮が死んだのは私の責任でもあるから…お父さんだけの責任じゃないの…」


私は黙って頷いた。


本当はまだ許せるわけない。


でも…私にだって非はあった。


反抗してないで、もっと家族と話し合えばよかったんだ。


あの時お兄ちゃんが相談してくれてたら私だって…


そう考えると、私も同罪なんだ。


「お父さんの事でこれから美羽にも迷惑かけると思うけど…」


「ううん。これは家族の問題だから…私も一緒に罪を背負うよ」


私は力強く母にそう誓った。



「美羽、いつのまにか心も成長していたのね…」


私の頰を優しく撫でる母の手が細くて、冷たかった。

泣くのをぐっと堪えていた。




人生、何かにつまづいたり失敗したとき…やり直せることもある。


でも…時間は戻せない。


後悔してからでは遅いこともある。


もう母は戻っては来ない。


もっと沢山、伝えたいことがあったのに。


もっと沢山、親孝行がしたかったのに…




半月後、母はこの世を去った。