今宵、君の翼で



翌日、病室を訪れると母は起き上って窓の外を見ていた。


昨夜は母が疲れると思い、病室に寄らずに帰った。


私も…気持ちを整理したかったから。


私が暗い顔していたら、母もきっと悲しむ。




「あら、美羽来てくれたの?」


私が来たことに気づいた母は優しく微笑んだ。


倒れた時よりも顔色は良いみたい…


少しだけほっとする。


「起きてて大丈夫なの?」


「ええ、今日はとても気分が良いの。昨日はごめんなさいね、心配かけて」


「ううん…」


家から持ってきた母の着替えなどをロッカーに仕舞うと、「昨日、美羽の彼も来てたんだって?」と言われドキッとした。


「ど、どうしてそれを!?」


「梶原さんに聞いたのよ。すごい美男子だったって」


そう言ってふふっと笑う。

美男子って…梶原さんってば!


「今度また連れてきてちょうだいよ」


「うん…」


翼は昨夜心配して私を家まで送ってくれた。


バイバイするまでずっと手を離さないでくれて…


そのおかげで今気持ちが落ち着いている気がする。